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メガネチョコ~背伸びキスできるなら~
「怪人メガネ、参上!」
「ちょ、なにしてんの、バカ!
危ないよ!」
顔にゴムを付けたメガネチョコを装着し、隣家の男の子が自転車で爆走していく。
五つ年下で小四の彼はいつも生傷が絶えず、事故に遭わなきゃいいんだけど、なんて心配したのも束の間。
――ガッシャーン!
背後から大きな音が響いてきて振り向いたら、彼が車に轢かれていた。
「大丈夫!?」
「へへ。
メガネ仮面はこれしきのことで死んだり……」
抱き起こした彼の首がお約束どおりガクンと落ちる。
「え、ちょっと死んだりしないでよー!」
私の叫び声が虚しく響いた。
――あれから六年。
彼があの事故で死んだかといえば、ピンピンしていていまは私を見下ろしている。
「ねえ。
ゆか姉のハジメテ、いつになったら俺にくれんの?」
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