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汚れることなどいとわずに私の傍に跪き、彼が肩を貸してくれる。
袴からのぞく私の足を少し持ち上げ、その白く清らかな手で付いた土を払ってくれた。
「これで大丈夫です」
私に草履を履かせ、彼が立ち上がる。
「あの。
……お、お礼、を」
彼が助けてくれなければきっと、私はあそこから転がり落ちて死んでいた。
それに。
熱い顔で俯き、そっと彼の袖を掴んだものの。
「いえ。
当然のことをしたまでですから」
どこまでも清々しく笑いながら彼は去っていった。
その背中を見送りながら、手の中のおみくじを握りしめる。
それには私の運命の相手とはすぐに出会えると書いてあった。
ねえ、神様。
彼がその、運命の相手ですよね……?
【終】
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