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第一皇女エマ
いよいよ、お輿入れされるらしい。
東国のマレーンでは、まことしやかにウワサが流れていた。
マレーン第一皇女であるエマの婚姻が長年の宿敵である西国カレンツとの間に行われるという噂だ。
本来であれば、祝福ムード一色のはずだが城内はおろか城下までも全くその気配はない。
逆に何とも言えぬ不気味さが漂うほどだ。
第一皇女とは名ばかりで、実際にはエマはほとんど部屋から出ない生活を強いられている。
先代の皇后がエマを出産すると共に亡くなられ、数年後に後妻としてお輿入れされたサリー皇后は気性が荒く皇帝の前とエマに対する態度は全く違うものだった。
サリー皇后が産んだ第二皇女のマリーとの待遇は年を重ねるごとに格差が生まれ、今では第一皇女自体いるかどうかも民衆は怪しんでいる。
エマ様はすでに亡くなられたのではないか?
いつの間にかそう噂されるようになっていたエマの、突然出てきた婚姻話に民衆は驚きを隠せなかった。
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