1. 夫とわたし

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「行ってらっしゃい」 「行ってきます。今日は会食で遅くなる。23時くらいには帰れると思う」 「わかった。気を付けてね!」 キスをしてから、いつものように角を曲がって見えなくなるまで手を振って見送る。 そして、ソファにダイブ。 「はぁぁぁあ〜」 毎度おなじみの、大きなため息。 わたしの人生は、同じことの繰り返し。 “退屈だ” そんなこと思っちゃいけないとわかってはいるのに、どうしてこんなにも欲張ってしまうのだよう。 気分転換に、そろそろ生え際の黒が目立ってきたので美容院の予約をしようと思い立った。 この家に引っ越してから、いつも同じ美容院に通っている。 いきなりだけど、今日予約して今日行けるのだろうか。 すでに登録されているサロンの名前を選び、電話を掛ける。
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