11. 彼と新しいわたし

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夕方まで、たっぷり遊んだ。 買い物が終わった後はカフェに行き、ゆっくりお茶をした。 その間もいろいろな話をたくさんしたけど、やっぱり彼は昨夜のことをなにも聞いてこなかった。 それが心底ありがたくもあり、切なかった。 わたしのことを、もっと知りたいと思わないのだろうか。気にならないのだろうか。 ゲームセンターにも行った。 UFOキャッチャーなんて十数年ぶりかもしれないわたしとは違って、盛岡くんは慣れた様子で何度もチャレンジしていた。 わたしが欲しがったディズニーキャラクターのぬいぐるみは、結局最後まで取れなかった。 取れなかったことにどこかほっとしていた自分がいた。 夕焼けが綺麗に見える海岸沿いを、二人で並んで歩く。 もう誰に見られても気にならない。そしてそれは彼も同じのようだ。 泣いて呼び出したわたしを見て、何かを察したからだろうか。 それにしても、本当に何も聞いてこない。 盛岡くんのお気に入りだというこの道。 いったい今まで、何人の女の子と歩いたんだろう。 最近ではいつ来たんだろう。 わたしばかりが気になって悔しい。 歩く距離が近くて、肩が触れ合う。 今度はもっと近くなって、指があたる。 そうしない方が不自然みたいに、わたし達は手を繋いだ。 こんなに近いのに、遠く感じる。 夕焼けの美しさが、余計にわたしの心を掻き乱す。
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