110人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方まで、たっぷり遊んだ。
買い物が終わった後はカフェに行き、ゆっくりお茶をした。
その間もいろいろな話をたくさんしたけど、やっぱり彼は昨夜のことをなにも聞いてこなかった。
それが心底ありがたくもあり、切なかった。
わたしのことを、もっと知りたいと思わないのだろうか。気にならないのだろうか。
ゲームセンターにも行った。
UFOキャッチャーなんて十数年ぶりかもしれないわたしとは違って、盛岡くんは慣れた様子で何度もチャレンジしていた。
わたしが欲しがったディズニーキャラクターのぬいぐるみは、結局最後まで取れなかった。
取れなかったことにどこかほっとしていた自分がいた。
夕焼けが綺麗に見える海岸沿いを、二人で並んで歩く。
もう誰に見られても気にならない。そしてそれは彼も同じのようだ。
泣いて呼び出したわたしを見て、何かを察したからだろうか。
それにしても、本当に何も聞いてこない。
盛岡くんのお気に入りだというこの道。
いったい今まで、何人の女の子と歩いたんだろう。
最近ではいつ来たんだろう。
わたしばかりが気になって悔しい。
歩く距離が近くて、肩が触れ合う。
今度はもっと近くなって、指があたる。
そうしない方が不自然みたいに、わたし達は手を繋いだ。
こんなに近いのに、遠く感じる。
夕焼けの美しさが、余計にわたしの心を掻き乱す。
最初のコメントを投稿しよう!