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「……そうなんだ」
そっけない返事をしてしまったわたしを、盛岡くんがじっと見つめる。
「なに拗ねてんの」
そう言って彼は立ち止まり、わたしの両頬を摘んだ。
「ひたいー……」
「ふふっ、かわい」
摘んだ力を緩めると、温かく包み込む。
顔が近付き、おでことおでこがこつんとぶつかる。
どこか色気のあるその瞳の奥に愛おしさが込められているように感じるのは、わたしの勘違いだろうか。
盛岡くんが首を傾け、唇が触れ合う。
その瞬間、本当に悔しいけれど、わたしの中のモヤモヤは全て吹き飛んだ。
唇が離れたとき、わたしは彼の背中をきつく抱きしめた。
どうか、ずっとそばにいて。
声には出さず、そう呟いた。
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