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一目惚れというものを、わたしは知らなかった。
だけどこの時初めて、これが一目惚れだと一瞬でわかった。
雰囲気とか、オーラとか、なんかよくわからないけどとにかく「あぁ好きだ」と思うのだ。
わたしがずっと探していたのはこの人だった。
大きくてがっちりとした肩幅。
センター分けにされた前髪。少しやんちゃそうなつり目がちな二重。長くて濃いまつ毛。
黒髪の中に、銀のメッシュがところどころ入っている。
外国人の顔が大きくプリントされた、少しだぼっとした白いTシャツに、同じくだぼっとしたジーンズ。
純二さんよりも数センチ高いように見える。
がっしりした、大きな手。その手を見ているだけで、なんだか………
「葉山様?」
はっとした。
「あっ、はい……」
わたしは立ち上がったまま、その場で彼を見つめたままぼーっとしてしまっていた。
「こちらです」
少し不思議そうな顔をしていたものの、すぐににっこりと笑いかけてくれた。
笑うと、白くて綺麗な歯並びが見えて、おまけにえくぼが一つできた。
か、かわいい……。
あの笑顔は反則だ。
ぱっと見たときのクールそうな印象を完全にひっくり返すギャップに、思いっきりやられてしまった。
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