2. わたしと彼

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一目惚れというものを、わたしは知らなかった。 だけどこの時初めて、これが一目惚れだと一瞬でわかった。 雰囲気とか、オーラとか、なんかよくわからないけどとにかく「あぁ好きだ」と思うのだ。 わたしがずっと探していたのはこの人だった。 大きくてがっちりとした肩幅。 センター分けにされた前髪。少しやんちゃそうなつり目がちな二重。長くて濃いまつ毛。 黒髪の中に、銀のメッシュがところどころ入っている。 外国人の顔が大きくプリントされた、少しだぼっとした白いTシャツに、同じくだぼっとしたジーンズ。 純二さんよりも数センチ高いように見える。 がっしりした、大きな手。その手を見ているだけで、なんだか……… 「葉山様?」 はっとした。 「あっ、はい……」 わたしは立ち上がったまま、その場で彼を見つめたままぼーっとしてしまっていた。 「こちらです」 少し不思議そうな顔をしていたものの、すぐににっこりと笑いかけてくれた。 笑うと、白くて綺麗な歯並びが見えて、おまけにえくぼが一つできた。 か、かわいい……。 あの笑顔は反則だ。 ぱっと見たときのクールそうな印象を完全にひっくり返すギャップに、思いっきりやられてしまった。
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