2. わたしと彼

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いったい幾つくらいなんだろう。 同い年くらいに見えなくもないけど、杉山さんがまだアシスタントだと言っていたから、けっこう若いのかもしれない。 とりあえず案内される通りに、彼の後ろをついて行く。 大きな背中だ。 その後ろ姿から、なぜか目が離せない。 「失礼します」 チェアーに座り、彼がわたしにエプロンをかける。 逞しい腕が顔のあたりに近付いてドキッとした。 血管がごつごつと見えていて、男らしい。 なんなんだろう、この子のこの色気。 さらになんとなく、ふわっと懐かしい匂いがしたような気もした。 「今日、どんな感じにします?」 鏡越しに、目をじっと見られる。 あぁ、やばい。カッコイイ……。 「えっ……と、いつも通りで!……っあ、じゃなくて、ごめんなさい。アッシュ系の茶色だったらなんでもいいんですけど、えーっと……」 しまった。バカだ、わたし。「いつも通り」なんて言っても、杉本さんじゃないからわかるわけないのに。 なんかキョドってしまったし、もう本当に恥ずかしい。 「………」 そんなわたしに対し、彼はなにも言わない。 真顔でまた鏡越しにじっと見つられた。 なに、なに、なに?なんで無言? もしかして、引かれてしまった……?最悪だ。
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