110人が本棚に入れています
本棚に追加
いったい幾つくらいなんだろう。
同い年くらいに見えなくもないけど、杉山さんがまだアシスタントだと言っていたから、けっこう若いのかもしれない。
とりあえず案内される通りに、彼の後ろをついて行く。
大きな背中だ。
その後ろ姿から、なぜか目が離せない。
「失礼します」
チェアーに座り、彼がわたしにエプロンをかける。
逞しい腕が顔のあたりに近付いてドキッとした。
血管がごつごつと見えていて、男らしい。
なんなんだろう、この子のこの色気。
さらになんとなく、ふわっと懐かしい匂いがしたような気もした。
「今日、どんな感じにします?」
鏡越しに、目をじっと見られる。
あぁ、やばい。カッコイイ……。
「えっ……と、いつも通りで!……っあ、じゃなくて、ごめんなさい。アッシュ系の茶色だったらなんでもいいんですけど、えーっと……」
しまった。バカだ、わたし。「いつも通り」なんて言っても、杉本さんじゃないからわかるわけないのに。
なんかキョドってしまったし、もう本当に恥ずかしい。
「………」
そんなわたしに対し、彼はなにも言わない。
真顔でまた鏡越しにじっと見つられた。
なに、なに、なに?なんで無言?
もしかして、引かれてしまった……?最悪だ。
最初のコメントを投稿しよう!