2. わたしと彼

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「一途…なんですか?」 一応、聞き返してみる。 「めちゃくちゃね!まぁ今、彼女がいるわけでもないんだけど」 ほっ。 ほっ?え、わたし、安心してる? こんな若い男の子相手に、なに考えてるんだろう。 「葉山さんは?一途ですか?」 なんでもないように聞きながら、彼がわたしの髪の毛を両手で掬う。 優しくくしでとかれて、気持ちが良い。 「わたしは……どうだろう」 はっきりと答えられない。 だって一途とか以前に、わたしは人を本気で好きになったことがないから。 「えー、旦那さんに一途じゃないんですか?」 旦那さん?なんで結婚してること知っているんだろう。 あ、そうだ。……指輪だ。 わたしの左手の薬指には、結婚指輪がきらりと輝いている。 「いいなぁ、俺も早く結婚したい」 またいたずらっぽく笑って言われたそのさりげない言葉に、なぜか胸がチクリと痛んだ。
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