2. わたしと彼

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「じゃありらさん、これからもよろしくお願いします」 お店を出たところまで送ってくれた盛岡くんが、ぺこりと頭を下げた。 にこっと笑った彼の顔に、また“きゅん”。 あぁ、素敵。 なんなんだろう、このなんともいえない幸福感。 心の中に欠けていた何かが、すっぽりと当てはまったような感覚。 なんとなく、わくわくする。 アイドルの男の子に夢中だった、昔のわたしに戻ったみたい。 なんか懐かしいな。 ーーそうだ。 彼をわたしの“推し”にしよう。 べつにどうにかなりたいなんて思わない。 会えたらラッキーだし、会えなかったらちょっと悲しい。 目の保養、ただの癒し。 アイドルを好きになるのと同じ。 その帰り道、見慣れた街並みを眺めながら、行きつけのスーパーで食材を買いながら、思わず鼻歌を歌ってしまった。 わたしの退屈だった毎日が、ほんの少しだけ色を持ったように。 推しができた! ただそれだけだと思っていた。 彼とどうにかなりたいなんて、これっぽっちも思わない。そういうのじゃ、ないから。 ………多分。
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