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「美味いっ!」
案の定、純二さんはとびっきりの笑顔を浮かべて喜んでくれた。
大きめのテーブルに、二人で向かい合って座る。
いつか自分達の子供ができたときもつかえるように、とこのテーブルを買うときに彼は言っていた。
そしてまだその気配はない。
「りらのこんな美味い料理を毎日食べられるなんて、本当に俺は幸せ者だよ」
もうすぐ結婚して二年が経つというのに、夫はそんな恥ずかしい台詞でもさらっと言ってくれる。
「ふふっ、わたしも幸せ」
わたしも平気な顔をしてそう答えられる。
だってわたしも、本当に幸せだから……。
食事しながら、純二さんは今日一日の話をしてくれる。
仕事の話や、ランチは何を食べたかとか、通勤途中の細かい出来事まで。
わたしはそれを微笑みながら「うんうん」と聞いてあげる。
ときには驚いたり笑ったりしながら。
誰が見ても、幸せな結婚生活だ。
だけど夜、ベッドの中の純二さんのことは、少し嫌いだ。
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