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そして、降り注ぐ数多の本。
どうやら、上は図書館になっているらしかった。
それらも、風に舞い、荒れ狂う。
そして、今にも隔たてとなった瓦礫が崩壊しようとしたときだった。
セエルを止めたのは一冊の本。
風に乗った本がセエルの後頭部にぶつかり、セエルが気絶した。
朱の惨劇。
後にそう呼ばれるこの惨劇の最後。呆気ない終わりを誰が想像するだろうか。
紅葉が散るように、紅い部屋で、セエルは倒れこんだ。
水の音が、流れ込んでいた。
†
「(ここは……)」
なんなのだろう……頭がくらくらする……
「(ここは何処だ?)」
あぁ、起きて学校に行かなければ……補習ってあったかな……
「(お前ははなぜここにいるのだろう……)」
あぁそうだ……学校は無いんだ……今日は日曜日……
「(お前はは何故ここに在る?)」
暗やみに覆われていた視界が一気に拡がった。
コンクリートのようで、何だか違うものの天井があった。それは、赤い。
それは、炎に照らされているから。
そして、大きな吹き抜けの窓が、無い。
代わりに、女性の顔がそこにあった。
「うわっ! って、え? アイニさんでしたっけ?」
「起きたか。まず説明しろ。お前の使った魔法はなんだ? あんなもの見たことない」
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