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「ところで、だが、学校などには興味がないか?」
「学校?」
アイニの突然の質問に対するセエルの反応はもっともたるものだった。それは、まさに、ところで、だったからである。
「そう、魔法学校だ」
実際、セエルには学校などはどうでもよかった。だが、興味がないかと言われれば、否定するのは間違いとなる。かといって、興味があるということでもない。
ただ、そんなところを知っていても損はないだろう程度だった。だから、こう答える。
「無いわけではないかな」
「そうか」
しかし、アイニはそれ以上を言わなかった。いう必要が無いと考えたのだろう。
「それがどうかしたのか?」
セエルが疑問に思うことは全く間違っていないだろう。なんの脈絡もなくそんな話になれば、誰でも反応は同じはずだ。
「それだけだ」
しかし、アイニは他意はないと言わんばかりに飄々と述べた。まだ言う必要もないだろうし、言ったところで意味がないと考えたのだ。
それならば、時間を経、魔法に興味を持たせた末に話を持ちかけた方が、任務遂行に支障がないのだ。
この会話は、そのための伏線と言えるだろう。
先のことを考え、アイニは行動していた。
「? まぁ、いいけど……」
「それじゃあ、次の町へ移ろう。長居の意味は無い」
「え? 町を見物しちゃダメか?」
無駄なことは極力避けたいと、アイニは思っている。しかし、この不思議な少年が上にとって何かあることも明白であった。
アイニは、食料などの補給もかねて、これを良しとした。
「時間もあるし、いいだろう」
他意は、ない。
†
〝古都〟アフラ・マズダー。
その中心地といえる、威厳ある風格を持つ城で二人は会話をしていた。
それは、これからの行動の話し合いである。
税の横流しをしている卑しい貴族階級を脅し、手に入れた結果に満足し、そして、どうやって彼らに追い付くかと言う話である。
レナとグーシオンは真剣に話し合っていた。
何にせ、重要人物であり、研究対象でもある彼は、既に出ていって(正確には、脱獄して)しまっているからだ。
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