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目を開けると心配そうに覗き込んでいた梨奈の顔が、ぱっと明るくなった。部屋の中はパーティー会場とは打って変わって、間接照明が目に優しい。
「ここは…」
「今夜は泊まろうと思って、部屋を取ったの」
頭がガンガンする。
僕はゆっくりベッドに起き上がって、コップに注がれた水を一気に飲んだ。
「大丈夫?」
「あー、うん。飲みすぎたかも…」
「バーテンダーの人が恐縮してた。間違えてウイスキーの烏龍茶割りを渡しちゃったんだって」
どうりで急に酔いが回ってきたと思った。
「そんな弱くはないはずだけど、緊張してたからな」
「おかげで今日はタダで泊まれるって」
「そりゃよかったな」
梨奈が隣に座り、僕の手を握った。
酔って火照った手にも彼女の体温が伝わってくる。
僕は梨奈のおでこにこつんと自分の額を触れさせた。緊張で強張っていた体がほぐれていく。
「パーティーも無事に終わったよ。ありがとう」
「そうか」
僕はため息をついた。肩の力が抜けた。
「…あいつはどうした」
「ふふっ」
梨奈は笑って答えない。
「何だよ。みっともないところ見せちゃったか」
「違うよ。嬉しかったの。謙さんがあたしを守ってくれたから」
「…酔いつぶれて、寝てただけだろ?」
「ううん。カッコいい虎になってたよ」
「虎?」
ぼんやりした頭では意味がわからない。
大成が梨奈に言い寄ってるのを見て、頭に血が昇ったのは覚えてるが、そのあとは記憶が曖昧だ。
『葉山さんが睨みを効かせれば』
「それに、遥香さんが言ってた例のモノって?」
「いいの、何でも。謙さんはいつだってあたしのヒーローだから」
梨奈は僕を黙らせるかのようにキスをして、ぎゅっと抱きしめてきた。
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