お化け屋敷

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 俺は人を驚かすことを何より楽しみにしていた。季節は夏。この時期に驚かすとなるとお化け屋敷だ。  俺はお化け屋敷の従業員として働くことにした。幽霊に化けて驚かしてやろうと思った。  お化け屋敷に最初のお客が来た。俺は首なし幽霊の姿で驚かそうと出た。 「私の首を切り落としたおまえを呪ってやるぞ!」  渾身の演技だ。これで驚かない奴はいないと思った。しかしお客の方は、一つ目の妖怪で俺の方が驚愕した。 「私の方こそ私を殺したあなたを呪ってやるわ!」 「ひぃぃぃー!」  俺は怖くて尻もちをついた。妖怪が迫ってきた。 「どう? びっくりした?」 「えっ?」  妖怪が被り物を外すとそこには見た顔があった。俺が好きな白石恵子さんだった。 「白石さん、どうしたの? びっくりしたよ」  白石さんが口に手をやって笑っていた。笑顔の白石さんはとてもかわいい。 「建山君がお化け屋敷の仕事をしているのを知って、私が逆に驚かそうと思ってね」 「そうだったんだね。やられたよ!」 「それは良かった。仕事が終わったら時間ある?」  俺は白石さんに誘われて天にも昇る気持ちだった。 「勿論。僕の仕事は三時で交代だから、終わったら二人で遊園地を楽しもうよ」 「嬉しいな! あっ、建山君、後ろ」  後ろを見ると先輩がいた。呑気に喋っているんじゃないと怒られた。  僕は仕事が終わると白石さんと遊園地を楽しんだ。白石さんとのデートはお化けに化けることよりも、ずっと楽しかった。
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