天使の羽根

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物心ついてから、自分が生まれてきた理由を探す子供になっていた。 両親は、まるで陰陽のマークの太陰太極図、、、のような夫婦だった。 白色が陽で、黒色は隠を表していることは周知だ。森羅万象、全てのものが、隠と陽の要素によって成り立っているという考え方からきている。 当たり前かもしれないが、白黒、明暗、ポジとネガ、熱い冷たい、善悪、プラスマイナス、表裏、男と女。 私から見る両親が、陰陽マークにぴったり当てはまるのだ。両親に対する感情は、今は、愛と感謝しかない。が、 子供の頃は、若干違った。自慢の両親だという思いはあれど、父に対する思いと、母に対する思いは全く違っていた。 ある時期まで、嫌いではないが厳格すぎる父に対しては距離を置いて過ごすことに神経を使っていた。褒められた事がなかったので、 とにかく、褒めて欲しかった。認めて欲しかった。 母は、私にとって、本人が聞いたら、驚くかもしれないが、非の打ちどころがない人だ。 「大好きだ」 が、今ひとつ、私の本当の所の、深層の真相を伝えた事がなく、、、伝えていないが、お見通しなのかもしれない。 大切に、育てて貰ったと、心底思っている。 しかし、両親との距離感は、近すぎたのかもしれない。要は、親離れ、子離れが遅かったとも言う。 そのことが要因だったとも思うが、一歩外へ出ると、神経を張り詰めて生きていたことは、否めない。 そうやって、どこか、よそよそしく、ベールに包まれたような人間関係を乗り越える術を見つける日々だった。 「自分から変化していかないと、世界は変わらないよ‼︎」 「逢う人、皆んなが、解ってくれるとは限らない」 「八方美人だと思う人、好意があるんだと勘違いする人、何を考えてるか分からない‼︎ とイライラする人」 「自分の都合のいいようにしようと画策する人」 「キリがないくらい、世の中には、色んな人がいるんだよ‼︎」 と、何かの折に、教えてくれた人。 その女性は、苦労人だったが、色んな事を糧にして大人になった人だった。器の広い、優しい人、、、 何事にも動じない、美しい羽根の天使だった。私の世界観を鍛えてくれた天使。 世界観を破壊した天使、、、私が自分や誰かの、〝かなしみ“や〝さびしさ“ に、知らず知らず、どっぷり浸かっていた、、、。 「そんなことしていたら、溺れて壊れていくよ⁉︎ 」と、気付かせてくれた天使。 「それは、ただの執着だね、、、誰のためにもならないし、考え事と、悩み事は、別なんだよ」、、、と、、、。 「考えても1人じゃ答えが出ないことに時間と労力を使うのは辞めなさい」と執着という言葉も教わった。 私の執着を取り除く術を伝授してくれた、美しい羽根の天使。 これは、解っていても、なかなか難しかった。切り替える、割り切る、、、簡単ではない。 これでもか、これでもかと、次々にやってくる。お試し期間が、不意打ちテストのようにやって来る。 「本当に、これで、よろしいですか?」 と、「ファイナルアンサーですか?」 と聞かれているようで、、、「ファイナルアンサー‼︎」 と、 答えられるほど、強気にはなれなかった。
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