きみは特別

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それからわたしは、毎日メイクをして登校するようになった。 眼鏡もコンタクトに変えて、制服のスカートの丈も短くした。 “地味”で“イケてない”“ガリ勉メガネ”のわたしはもういない。 「見て、彼氏も彼女も超美形なんですけど!」 「お似合いのカップルだね」 一馬くんと一緒にいると、学校の中でも外でも、そうささやかれるようになった。 今日もみんなが、並んで歩く一馬くんとわたしを見てる。 「美咲、今日はなんだか嬉しそうだね。何かいいことでもあった?」 頭の中で、何度も何度も、繰り返し再生される佐川くんの声。 「金田ってさ、漆原と付き合いはじめてからキレイになったと思わん?」 「眼鏡外したら、あんなにイケてる女子に化けるなんて反則だろ」 「あー、俺、超もったいないことしたな。漆原より早く気づいてたら、今ごろ金田と付き合えてたかも知れないのに」 その言葉を聞いた時、すごく気分がよくて、同時に自分が“勝ち組”になったんだ、って実感できた。 「ううん。何にも。……ただ、一馬くんと一緒にいられて幸せだな、って思ってただけ」 一馬くんは優しく微笑んで、わたしの右手を握る。 「俺も、美咲といられて幸せだよ」 一馬くん、好き。大好き。 一馬くんは、わたしの王子様で魔法使い。 彼と出会って、わたしははじめて特別な女の子になれたの。
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