アンニュイなエクレア

　日々、おびただしい種類のスイーツが発売される。大手お菓子メーカーだけではなく、中小メーカーも、コンビニ各社も、町のケーキ屋さんも、さらには個人のインフルエンサーも、創意工夫を凝らしたスイーツを常に作り出している。
　季節に合わせた食材を使うことはもちろんのこと、これまでにない組み合わせを試し、新しい商品に生かせないかと討論を重ねている。ひとたび流行りの映画や歌が出てこれば、それにあやかったスイーツも続々と発売されるのだ。

　もはやスイーツは美味しいことは当たり前で、それだけでは売ることはできない現代。新発売のスイーツの影に、製造中止となるスイーツも山ほどある。
　さまざまな切り口から消費者へアピールするべく、スイーツの開発競争が続いているのだった。

　そんな中、製菓メーカーである「山田製菓」が開発したエクレアが注目を集めた。

　よくあるエクレアに比べると、シュー生地は白っぽく、チョコレート部分はなんだか、くすんだ色をしている。はたしてこのエクレアは美味しいのか？
　しかし、このエクレアのウリは美味しさではないらしい。一見すると美味しそうに見えないそのくすみ具合に秘密がある。