1人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れ様です、一旦休憩でーす」
「楽屋に余ったエクレア置いてますので、良かったら召し上がってくださいね」
撮影のピンと張り詰めた空気が緩む中、若いスタッフたちが親切に夏木ユウコへ声をかけていた。
「ありがとう、すこし休んでくるわね」
今日もアンニュイ・エクレアの新しいCM撮影を終えた優子は楽屋へ入り、ソファへ腰掛けた。テーブルにはスタッフの言うとおり、エクレアが置かれていた。
ユウコがエクレアへ手を伸ばしかけた時、コンコンと楽屋をノックする音が聞こえてきた。どうぞ、と入室を促すとスタッフが入るなり話しかけてきた。
「失礼します、続きの撮影の件ですが。……あっ失礼しました、お疲れのようなので、しばらくしてからまた来ますね」
ユウコの様子をチラリと見ただけで、声も聞かずにそそくさと楽屋を後にしてしまった。
「疲れてるわけじゃないんだけど……」
ユウコはポツリと言う。
最初のコメントを投稿しよう!