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アンニュイ・エクレアの終了とともに、ユウコの芸能生活にも陰りが見えてきた。
「夏木ユウコさんか……。うちのイメージとは少し合わないんだよね。なんか、表情にくすみがあるっていうか。去年くらいまではそうは感じなかったんだけどねぇ。今なら元気系なら、もう少し若いハルカとかミフユとか、使えないかな」
イメージキャラクターの企画会議ではいつもこうだ。いつのまにか、クライアントからの夏木ユウコの印象は「元気系」から「元・元気系」となっていた。アンニュイ・エクレアがハマり役だっただけに、エクレアから離れるとどうしてもくすんで見えてしまうということだった。
「どうしよう、マネージャー。エクレアの前からやってた仕事全部なくなっちゃったよ」
ユウコは大きなため息をついた。
「大丈夫だ。いつかは路線変更しないといけないとは思ってたから。……それで、今後のことで、こういう仕事がきているんだけど」
マネージャーが持ってきたのは、女優の仕事だった。
「これまではイメージキャラクターでCMとかの仕事が多かったけど、若い子が出てきたら、どのみち、こうなっていたさ。演技の方面、頑張ってみようか」
「私だってまだかなり若手なんですけど。……まぁ、あなたがそういうなら、今後はこっちで頑張ろうかな」
ユウコはムッとしながらも、マネージャーのいうとおりだと感じた。
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