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そんなスタッフたちの盛り上がりは知らず、ユウコは楽屋でくつろいでいた。
ソファに座ったユウコは、テーブルの上に用意されていた差し入れを見ていた。その差し入れは、山田製菓のエクレアだった。
アンニュイ・エクレアは販売を終了したものの、山田製菓は普通のエクレアの販売を開始したのだ。アンニュイ・エクレアの失敗をもとに、写真映えを狙わず、イメージキャラクターも使わず細々と販売しているとのことだ。山田製菓の広報社員とは仕事の縁から、こういう時に差し入れをしてくれるようになっていた。
ユウコがエクレアへ手を伸ばしかけた時、コンコンと楽屋をノックする音が聞こえてきた。どうぞ、と入室を促すとマネージャーがはいってきた。
「調子はどう? あんまり疲れてなさそうだね」
「こう見えてけっこう疲れてるのよ。ドラマの撮影ってけっこう緊張するし。でもやりがいがあって楽しいわ」
「それは良かった。今日、雑誌の人がきてて、ちょっとインタビューしたいんだって。時間もないしここに呼んでもいいかな」
「わかったわ、私は大丈夫」
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