怨霊と家系の闘い

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俺が動けば人が死ぬ。 そういう運命のなかで生きている。 いや、勝手に生かされているのだ。 「なあ、どういう心境だ?人を死なせてまで、どこへ行く?」 セキが俺のそばを歩きながら聞いてきた。 14歳で死んだ兄の姿のままで。 白いパーカーにジーンズにスニーカーで。 彼は幽体なので外出するときも部屋に居るときも靴を履いたままだ。 姿は兄だが『兄ちゃんとも、シジマとも呼ぶな、セキと呼べ』 そう言ってきたので、そう呼んでいる。 なぜ死んでから名を変えたのか、俺は聞かないままだ。 『静寂』と書くが、カタカナで『シジマ』の兄。 『御影』と書くが、カタカナで『ミカゲ』の俺。 どちらも『漢字での意味合いを薄める為に、敢えてカタカナ』だと 父に言われたことだけば記憶している。
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