怨霊と家系の闘い

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現在、上京している俺は、実家の村から発って東京へと 辿り着くまでのあいだ、56回の事故と事件と自殺と殺人。 それらに遭遇し続けた。 要するに『俺が大きく動いた』からだ。 バス、電車、飛行機、この経路で足止めになり。 新幹線にしたら大雨で運転中止になった。 天候なら普通なのだろうが、突然の出来事でホームが混雑して 人々のストレスがたまった。 これは普通だ。 ところが、ひとりが怒鳴り、誰かが怒鳴り返し、口論になった。 これにしても普通だ。 どうにも普通ではなかったのが、そこからの暴力沙汰が拡大して 更なる混乱で数人が殴り合いを始めて、他の人々も巻き込まれた。 結果的には死者11人、重軽傷者8人、負傷者25人となった。 こういったことが繰り返され、高速バスに乗れば運転手が自殺を 決行する為に、対向車と激突したり、どうにも先に進めないまま 時間が経てば経つほど死者は増えた。 東京には、最も遠縁の年老いた男性が古いアパートを管理していて そこに引っ越しを決めた期間、数ヶ月を含めて死者は82人となった。 もちろん俺が、かぞえたわけではない。 セキが告げてきたのだ。 その現状における最後の犠牲者は......その遠縁の男性だった。 俺の荷物が自宅に届き、あらゆる手続きを終えてから自殺した。 彼との初対面は、俺の住む部屋の隣りの部屋で首を吊った姿だ。 『やれと言われたことはやりました』という遺書も付けて。
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