ストライキを決行するアシスタント

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ストライキを決行するアシスタント

「もう1回、もらいに行こか」 妻はそう私に言った。 私と妻は近所で開催されている「目黒川の桜まつり」に来ていた。今回もローカルネタで申し訳ない。 「目黒川の桜まつり」は毎年3月末に開催されており、今年の開催期間は3月30日(土)~31日(日)だった。 目黒川の桜はまだ咲いていない。でも、桜まつりは開催される。 A cherry blossom festival without bloomed cherry blossom trees さて、「目黒川の桜まつり」では、入り口でハーゲンダッツのアイスが無料で配られていた。 列に並べば一人に一個、ハーゲンダッツのアイスがもらえた。 会場に入る前に私たちはハーゲンダッツのアイスをもらった。 そのアイスを食べてから会場に入った。 お酒を飲みながら、屋台で買った気仙沼のホタテ、カツオを食べたりしていた。 一通り会場を回ったあと「そろそろ帰ろか」と家に帰ることにした。 出口に近づいたら妻が言った。 「もう1回、もらいに行こか」 私と妻はハーゲンダッツのアイスを2個ゲットし帰宅した。 そして今日(3月31日)。 妻は私に言った。 「もう1回、もらいに行こか」 私と妻は2日目の「目黒川の桜まつり」へ出かけるのであった。 ハーゲンダッツのアイスを2個ゲットするために…… *** さて、YouTubeに話を移そう。 私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。 2月から再生回数が低迷している書道チューバーたちは迷走している、と前に書いた。 我が家の自称ユーチューバーも同じく迷走している。 迷走する我が家もいろいろやってみた。 「百人一首クイズ」、「魚編クイズ」……もう書道と関係ない動画を大量に作った。 他の書道チューバーも同じように書道と関係ない動画を大量に配信している。 でも、再生回数は伸びない。 「やっぱり、こうしたらいいんちゃう?」 「ずーっと問題を出して、答えを最後まで引っ張ったらいいんちゃう?」 妻は私に言いたい放題言う。 個人的なグチを書いて申し訳ないのだが、3月は忙しかった。 仕事もあるけど、本(専門書)の原稿を書いていたから、YouTubeに掛ける時間がほとんど無かった。 書いていたのは図表が入って200頁くらいの本。文字数では10~15万字くらいだから、そんなに多いわけではない。 ちなみに、専門書の発行までの流れは小説とは大きく違う。 話が脱線するが、参考までに書いておこう。 1.出版社の担当者から「〇〇のような内容で書いてくれませんか?」と相談がくる 2.担当者に本の概要を送る 3.出版社の編集会議で出版が決定する 4.執筆要項が送られてくる 5.原稿を書いて担当者に送る 6.担当者からいくつか確認がくるから対応する 7.ゲラ(初稿)ができて送られてくる 8.ゲラ(初稿)をチェックして出版社に送り返す 9.ゲラ(二校)ができて送られてくる 10.ゲラ(二校)をチェックして出版社に送り返す 11.ゲラ(三校)ができて送られてくる 12.ゲラ(三校)をチェックして出版社に送り返す 13.本が出版される 14.出版契約のドラフトが送られてくる 15.出版契約を締結する まず、専門書の場合は原稿を書く前に出版が決まっている。 そして、出版物によって少し違いはあるものの、大体ゲラは2~3回チェックする。 自分の書いた文章を何度も何度も見直すので、結構苦痛な作業だ。 もちろん、私はゲラのチェックが大嫌いだ。 また、出版契約は本が出版された後に締結することが多い(ような気がする)。出版されて1~2カ月後だったりする。 専門書の出版はこんな流れだ。 さて、話を元に戻そう。 上からものを言う妻に対するイライラもあり、私は決行することした。 そう、ストライキを。 「そんなに言うんやったら、自分でやったらいいやん!」 こうして私のストライキは始まった。 ストライキを決行してから2日くらい経った頃、妻が私に言った。 「どうやって動画を作るか教えて」 私は妻に動画編集の仕方を教えた。 時間が掛かりながらも自分で編集して動画を配信する妻。 私は何か悪いことをしているような気がした。 ストライキを決行してから1週間が経った。 「時間ができたから編集するわ」 私は妻(自称ユーチューバー)のアシスタントを再開することにした。 <つづく>
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