ちゃんと撮れやーーーー!!

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ちゃんと撮れやーーーー!!

「ちゃんと撮れやーーーー!!」 妻が私に怒鳴っている。 この時、私は満開の桜をバックに妻の写真を撮っていた。 もう何回目か分からない。 うちの近くには川沿いに桜並木がある。 家の近くには数千本の桜が咲いているから、毎日その桜を見ながら歩いていた。 「うん……」と言いながら私にスマホを渡す。 いつものことだから「写真撮ってくれ」とか言わない。 妻がポーズをとる。そして、私は写真アプリのボタンを押す。 “カシャ カシャ カシャ” 目をつぶってたりするから、私はいつも3~4枚撮るようにしている。 私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。 「目ぇ、つぶっとるなー。はい、削除」 「これ、皺が目立つなー。はい、削除」 「これ、オバチャンぽい。はい、削除」 こうして、私の撮影した写真は全て削除された。 私と妻は川沿いと歩いていく。 また妻が私にスマホを渡した。 私は写真アプリのボタンを押した。 “カシャ カシャ カシャ” 私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。 「他人が入っとる。はい、削除」 「これも、他人が入っとる」 「ちゃんと撮れやーーーー!!」 これは私が悪かったかもしれない。 妻は怒りながら写真を削除した。 怒られながらも、私は妻と川沿いと歩いていく。 また妻が私にスマホを渡した。いろいろ注文を付けてくる。 「20代に見えるように撮れやーー!」 無理である。自分の年齢を考えてほしい。 「奇跡の一枚を撮れやーーー!」 無理である。滅多に起きないから奇跡というのだ。 “カシャ カシャ カシャ” 私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。 今度は私に質問してきた。 「20代に見える?」 「さすがに20代は難しいんとちゃうかな」 「じゃあ、30代に見える?」 この流れで「40代」と言うと良くない。 私はこの辺(30代)が落としどころだと考え「見えるでー」と答えた。 「30代前半?」 「前半……うーん、後半じゃない?」 妻は不満そうだ。しかたない、卑怯な私は間を取った。 「強いて言えば、35やな」 奇跡の一枚を撮影するために、私は今日も妻の写真を撮るのであった……。 *** さて、YouTubeに話を移そう。 私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。 2月から再生回数が低迷している書道チューバーたちが迷走している。 我が家の自称ユーチューバーも同じく迷走している。 「クイズにしたらええんとちゃう?」と妻が言った。 その時、魚編の漢字をYouTubeに投稿していた。漢字クイズだ。 皆さんはいくつ分るだろうか? 鯏(ア〇〇) 魚ではなく貝 鯆(イ〇〇) 魚ではなく哺乳類 鰍(カ〇〇) サンマっぽいけど、サンマじゃない 鯔(ト〇)  アシカに似ている方ではなく、ボラが出世したもの。「ボラ」「イナ」とも読みます 鯳(ス〇〇〇ダラ) タラの一種 ※答えは検索して下さい。 「どういう意味? もう、クイズにしてるやん?」と妻に尋ねた。 「書道動画ってなー、書いてるところ見てても飽きるやん?」と言う妻。 言いたいことは分かる。 誰か知らない人が字を書いているところを見ても、あまり面白くない。 でも、それを言いだしたら、書道動画である必要性がない。 つまり、妻のこの発言は自ら(書道チューバー)の存在意義を否定しているのだ。 とはいうものの、書道動画を投稿し続けている私も飽きていた。 「クイズやったら、簡単なのを出してもしかたない。難しい方がいいなー」と私。 「例えば?」 「そーやな……『世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は?』とか」 「じゃあ、『日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は?』」 「おー、ええやん。そんな感じやな」 こうして、難しめのクイズを書道動画に入れ込むことにした我が家。 皆さんは分かりますか? 問題:世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は? ヒント:(ゴ〇〇〇〇〇〇〇チン) 概要:中国・インド・パキスタンをまたいだカラコルム山脈にある山。標高は8,611m。 問題:日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は? ヒント:(〇岳) 概要:山梨県にあります。標高は3,193m。 問題:日本で一番長い川は信濃川ですが、二番目に長い川は? ヒント: (利〇〇) 概要:関東方面に流れてくる川。長さは322km。 問題:世界で一番高いビルは? ヒント:(ブ〇〇〇〇〇ファ) 概要:ドバイにあるアレです。高さは828m。 ※答えは検索して下さい。 我が家の迷走は続くのであった。 <つづく>
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