天井裏に誰かいる

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 あなたの呪縛を斬り捨てたところで何も起こらず、世界がひっくり返ったり大事な者たちが滅びたりすることはない。  このたったの一文を。  自分のなかに根づかせることができるようになるのは、もうしばらく後のこと。  あの夜、迷子のような困り顔でそれとは知らず私の喉元に刃先を向けたあなた。  今ならばどう応えるだろう。  私の親であり子になったあなたに、あなたの子であり親になった私は。  いつ何を突きつけられても矛先を袂にくるりと包みこみ、その手をぎゅうと握れるように。  何にも囚われることなしに、その都度見つけたまっさらな色を塗りなおしていく。  ガタン、と天井越しに何かが落ちる音──  ほら。 「天井裏二誰カイルヨ」
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