天井裏に誰かいる

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天井裏に誰かいる

 天井裏に潜んでいるらしい某が日中無人となった我が家の階下に降りてきて部屋のなかを物色している。ものを食い、用を足し、風呂すら浴び、しばらくのあいだ我が物顔に過ごしたのち、家人が戻る前にまた屋根裏へと戻る生活をしているのだ、時折ミシミシと音をたてているのが聞こえるとあなたは言う。  夜中に私の枕元でそれを告げる抑揚のない囁き声と暗闇に光る両目に、かつて覚えのない低温の熱っぽさを感じた。  翌朝あなたの手による侵入者宛の伝言メモと千円札数枚が食卓の上へ置かれているのを目にしたとたん、ざわざわとした違和感は拭い難いものとなる。  
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