認めて堕ちる

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認めて堕ちる

「婚姻年齢には達してるから、ゆかりちゃんが捕まることはありません」 「そういう問題じゃねえ!」 「じゃ、どういう問題?」 「……う」  じっと見つめられて困惑する。 「ねえ、なにが問題?」 「や、だから……付き合ってねえし……いきなりとか」 「ダメ? オレはゆかりちゃんが好きだよ。だから、抱きたい。いい機会だと思ったんだ。神事だけじゃなくて、ほんとに結婚したい」 「おれは……」 「ゆかりちゃんも、オレのこと好きでしょ?」 「決めつけるな!」 「違うの?」  ああ、もう、捨てられた子犬みたいな目で、おれを見るな!  だから、お前が『花婿』だって聞いたときに、これはヤバいって思ったんだよ!  既婚者だったころからかわいいと思ってました!  でもお互いに男だし!  おれは既婚者だからって、自分で自分にストップかけてました! 「……違わない」 「じゃあ、問題ないよね」  恐ろしく嬉しそうで、びっくりするほどにきれいな笑顔を見せられた。  ああ、はい。  悪あがきしてすいませんでした。  認めます。  ホントは、おれも、この年下の男に懐かれて、ほだされていました。  着物エッチって、実はめっちゃエロいんじゃね? なんてことをのんきに考えていられたのは、キスまで。 「すごいね、この着物……誘ってる?」 「誘ってねえわ……女物だからだろ……ンん……あ、ちょ、まて……あァ、あ……」 「ゆかりちゃん……かわい……」  おれはホントは自分の名前が好きじゃない。  よく女の子と間違えられるし、読み間違いも多いし。  チビのころ、ここで会った誰かに『ゆかりとはえにしよ。お前によく似合う』そう言われてからは少しだけ好きになったけど、基本的にはあんまり人に下の名前では呼ばせない。  家族と、チビのころから知っている人たちは『ゆかち』と呼ぶ。  あとは元嫁含めて『縁くん』だった。  『ゆかりちゃん』だなんて、かわいく呼ぶのは……呼ぶことを許したのは、こいつだけ。  身長はそう変わらないのに、年齢の割にしっかりとした体つきの慎也は、おれを抱え上げて部屋を移る。   本殿の奥にある、それ用に整えられた部屋。  大きな白い布団が引かれている。  本殿で重たい着物やら被り物を脱ぎ去って、一番下の白い着物になって連れていかれた。  布団に下ろされるとき、慎也の向こうにふさふさと影が走った。 「ゆかりちゃん?」 「初夜はいいけど、風呂ぐらい入らせろ……こんだけ準備されてるんだ、あるんだろ?」 「後じゃダメ?」 「エッチするにはそれなりのマナーってもんがあるだろうよ、童貞小僧」  苦し紛れにそう言ってやったら、慎也の目つきが変わった。 「童貞だけど、イメトレはばっちりだからね」  はい、すいませんでした。   ++++++++++
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