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鴨にだって、死にたいと思うときは有るのか、無いのか。
カップルか、若しくは夫婦か。二羽の真鴨が川流に身を委ねる様子を、僕は河川敷から見守っていた。
一見呑気そうな鴨達だけど、普段は「猛禽類に喰われてしまいたい」と嘆いているのだろうか。
……僕が僕の疑問に回答すると、答えはノー。
弱肉強食の自然界に於いて、日常とはデッド・オア・アライブ。常に死と隣り合わせの毎日だからこそ、人生(鳥生?)を目一杯生きられるのかもしれない。
一方の僕はどうだ。テストや部活のあれこれで「死にたい」と嘆くことの出来る日々は、永久的だと勘違いしていたのではないか。
テスト三日前に「勉強しないと!」と気付き、焦燥感に追われるように。当たり前の日々の大切さを、今更知ってしまった。
僕の住む街で戦争が始まるまで、あと二日。
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