天与

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天与

若い男「………そうか、こうやって、その人の四元素って、割り出せるんだ」 若い女「そうそう。これを見たところ……兄さんは地、ね。……あたしィは、風なのよ〜」 兄さん、と呼ばれた若い男「へぇ〜。僕が地で…おまえが風ってことは…兄妹でも違う?」 妹「両親が同じでも、これは別になることが多いのよ。……でね、あたしィがこっそりやってみたんだけど、レオ兄さんは水で…マック兄さんは火なの。ただ……あたしィらの母さんがなんだったのかはわかんないのよね。……あと、お父さまもなんだったのか、わからない」 兄「……うん」 妹「……聞いとけばよかったわ……亡くなる前に。あ……そーいえば…もう少ししたら、例の警備隊?だったっけ?……ここへ到着するんでしょ?」 兄「ああ……たしか、明日、いや次の日に…」 妹「王都の近衛騎士団から、何人かの騎士が来るって…レオ兄さんは言ってたわよね。マック兄さんは…領内が落ち着いてきたら、屋敷の方にも団員を回してやるぞ、とか…」 兄「…王都の騎士団は終戦後に…新しくできたって、聞いたな」 妹「…あっ……ねぇ〜〜可愛い……兄さん好みの女の騎士なんか来たら、ど〜する?ウフフ……兄さんがその人のコト、好きになっちゃったり、逆に相手が兄さんに惚れちゃったりなんかしたら……ウフフフフフフフフフフ……おもしろいことになりそー」 兄「…えっ!?…女の人が、ここに来るの?男の騎士じゃなくて??」 妹「まーーなんとなく、そんな気がして。……男女関係なく、騎士ってなれるんでしょ?…以前、信じられないほど強い、女の国軍騎士がいたんですって……ウフフフフフ…」 「…ふっ、まぁ…いたのかもしれないな。……誰が来たっていいよ。…僕は女の人と親しくなるの、下手だし……だからといって、男がいいってわけでもないけど……」 言い終えてから、ため息をついた兄の瞳は暗くなった。 そんな兄へ妹はくっついてきた。 「…………兄さんに問題があるんじゃないわよ」 「…………」 「……あの女たちは、マック兄さんが押し付けてきただけなんだって!…土台、どーして、兄さんが好きでもない女と子作りに励まないといけないのよ!?マック兄さんは、いったいどんな神経してんのッ!?…自分がやれって言われたら、どうするつもりなのしら?…レオ兄さんだって、基本的には感じ悪いじゃない!兄さんを傷つけることしか言わないし、あたしィには、恋人をつくるな、誰とも交際するんじゃないっとか何とか、命令してきてッ!!用意してやったこれを着ろ、言われた通りの髪型にしろとか、口うるさく言ってくるし……あの二人、この家のためだって、一方的すぎるのよぉ!!」 妹は黙ったままの兄の想いを代弁してくれた。 「……はぁ〜…そう…そうだ。……おまえがいてくれて、僕は嬉しいよ……」 「……あたしィも。…兄さんがいなかったなら、どうなってるのかって思う。……少なくとも、確実にレオ兄さんとマック兄さんはあたしィによって、とっくに磔(はりつけ)にされちゃってるわ」 「…………だろうな」 「ええ、そーよ。……ウフフフ、フフフフフフ……」 自らの理解者である妹・ユリアの存在が、腹違いの二人の兄から罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられてきた兄・ユリウスは嬉しかった。
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