アラサーぼっちと保護犬ロン

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 インターホンが鳴る。すると、どこかソワソワしていた俺たちはおもむろに立ち上がり、玄関へと向かった。  玄関を開け、木和田と一週間ぶりの再会を果たす。「今日はよろしくお願いします」と挨拶を交わす俺たち。木和田の手にはキャリーバッグが握られていて、その中にはロンがおとなしく入っていた。  木和田から俺たちのもとに再び連絡が入ったのは、面談から二日が経ってのことだった。母さんをはじめとする俺たちは、ロンを飼うことができると判断されていた。  連絡を受けたとき、母さんは安堵の表情を見せていたし、俺もそこまで強い関心があるわけではないのに、ホッとした思いを味わっていた。ロンを迎え入れるのに一歩前進したことを喜ばしく思う空気が、家の中には広がっていた。  だけれど、飼育が可能と判断されたからといって、まだ本譲渡にはならない。ロンを保護しているこの団体は、実際に保護犬を迎え入れる前に、数週間のトライアル期間を設けていた。実際に一緒に過ごしてみて、保護犬と里親の相性を改めて確認するためだ。  電話での話し合いの結果、ロンのトライアル期間は二週間に決まった。二週間を共に過ごして、迎え入れたいという意志が変わらなければ、正式に譲渡申込書を提出して、迎え入れるという流れだ。  ペットショップとは異なる流れに、俺は少し回りくどいなと感じてしまう。でも、一度は保護された犬なのだ。同じ思いを味あわせたくないのなら、当然のことだろうと納得した。
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