アラサーぼっちと保護犬ロン

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 俺がいつも通りダイニングに行くと、ダイニングテーブルには既に父さんと母さんが座っていた。父さんはもう顔を少し赤くしていて、今日も夕食前に酒を呑んでいるのだと分かる。  母さんの席にも缶ビールが用意されていて、俺も呑むか聞かれたけれど、俺はすぐに断っていた。俺は夕食を食べながら、酒を呑みたいタイプではない。どうせ呑むなら夕食が終わった後、ゆっくり吞みたかった。 「いただきます」と三人で手を合わせて、俺たちは夕食を食べ始める。  今日の夕食は焼き餃子だった。香ばしい色をした焦げ目が天井照明を反射して輝いている。形は一つずつ微妙に異なっていて、それはこの餃子が冷凍食品ではなく、母さんが一つ一つ手作りで作ったことを示していた。  母さんは作る過程が好きなのか、よく餃子を作る。そして、俺たちは母さんの作る餃子がまったく嫌いではなかった。今日もショウガの風味が効いていて、文句のつけようがないほど美味しい。チェーン店にも負けていない味だと、たとえ身内贔屓が入っていたとしても、俺は食べるたびに思うのだ。 「ねぇねぇ、二人とも。月末の土日は空いてるよね?」  食事は進み、リビングからテレビのバラエティ番組の音が聞こえる最中、母さんがそう切り出してきた。  今は四月で、月末にはゴールデンウイークに突入する。俺の会社は残業もなければ、土日もしっかりと休ませてくれる会社だったので(その分仕事内容はつまらないが)、俺は首を縦に振る。  定年退職した父さんも予定は入っていなかったようで、「まあ今のところな」と応えている。  俺たちの返事を見て、母さんは酒で緩んだ顔をさらに綻ばせた。どこかに家族で出かけようという提案だろうか。俺はもうすぐ三〇歳になるというのに。
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