優等生の孤独

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俺は何をしているんだ。 生徒に流されるなんてどうかしてる。 明日からどの面下げて、教壇に立てばいいんだ。 俺は頭を抱えた。 「先生、寝ましたか?」 「起きてる。」 「俺もです。」 この状況で、眠れるわけないだろう。 「明日も授業がある。早く寝ろよ。」 「それは先生もでしょ?」 「誰のせいでこうなってると...」 「俺ですか?」 真鍋は俺の方に身体を向けた。 「お前以外、誰が居るんだよ。」 「ふふっ、それもそうですね。」 「笑うなよ。」 「嬉しくて、つい。先生もこっち向かないの?」 「向くわけないだろう/」 って、俺は何をムキになっているんだ。 ここは大人の余裕を見せる所ではないのか。 俺は意を決して、真鍋と向き合った。 「やっと、俺の事見てくれた。」 「俺は...//」 「先生、好きです。」 だめだ。流されるな。 俺は一時の感情に流されて、人生を棒に振るのか。 今ならまだ引き返せる。 「先生、キスしてもいいですか?」 俺よ、抗え。 「何も言わないということは、いいんですね?」 だが、時すでに遅し。 俺は真鍋と禁断の1歩を踏み出した。
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