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* * *
死んだ人の話をするのはなんだか抵抗があるね。
あたしは彼の胸に頭を乗せながら、彼女のことを話す。
「もう、三年も経っちゃった」
彼女はあたしが十四歳の秋に死んだ。
まだ残暑の厳しい九月。
なぜ、あんな中途半端な時期に彼女は死んだのだろう?
「そういえば、アイツ、変わった奴だったもんな」
彼は中学生時代の彼女を思い出してあたしと見比べる。
「ちっとも似てねぇな」
「酷いこと言うね、諫早」
二人で毛布にくるまって、彼女の話を今まで何度しただろう?
あたしの話す彼女の話はいつまでも続く。
終わりがないみたいだ。
でも、そんなこと言い合っているあたしも諫早もいつか死ぬ。
彼女みたいに。
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