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悶絶している彼を、ふん!と鼻息荒く見下ろす。
「好きですよ?
好きですが?
これでいいんですよね、これで!」
「あー、なにを怒っているのか全くわからんが、これで機嫌を直せ」
不意打ち的に軽く課長がキスしてくる。
それに反射的に出した拳は、今度は避けられた。
「それがムカつくんじゃー!
だいたい、好きなら好きとちゃんと言わんかー!」
私は怒っているのに、課長は全くの平常運転だ。
「あれ?
言ってなかったか?
優奈、好きだ、愛してる」
軽い調子で再び、彼が唇を重ねてくる。
それになにか言おうとしたが、……諦めた。
「……うん。
もーいいです」
「じゃあ、充電させろ」
空気なんか読まずに、彼が唇を貪ってくる。
離れて、今日はぎゅーっと抱き締められた。
「……なあ。
いつもワイヤレス充電で一〇〇%ならないから、家でコード繋いで充電したい」
ニヤリ、と課長の右の口端が持ち上がる。
その問いに、私は。
【終】
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