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あの夏に咲いた花
【あらすじ】
夏の終わり、彼女は現れた。
いつだって、いつでも仲良しだった。
高校生になった今、距離はそれぞれ離れてしまった。
だが、ただ一人あの頃から変わらない少女がいた。
突然目の前に現れた夏のストレスの具現化、
単なる幻覚幻聴のように考えていた『かおり』は
かつて不慮の事故で亡くなった幼馴染だった。
もういなくなったはずのかおりがなぜ現れたのか。
それは願い事を叶えるためだった。
かつての出来事は小さなトラウマに変わり始めていたが
必然的に幼馴染だった七人は再び集まることになった。
お互い距離感を残しながら再開を果たすが、
かおりが戻ってきたという言葉にあわさるようにして起きていく
嫉妬と執着、後悔と絶望。彼らは再び集まるべきだったのか、
別の道を歩んでいくべきだったのか暗雲が立ち込める。
彼女は願い事を叶えても、空白を残したまま去っていった。
彗星の如く現れて、砂のように消え去った。
何ページも費やして綴られた明日の行き先、言葉にできない気持ち。
もう終わったはずだと思っていた過去に、日差しが降り注ぐ。
結局は思い出なんて古くなったものから捨ててばっかりだ。
でも、それを見返したら細かいケンカもどうでもいい約束も残っていた。
使い道ない優しさはどこに与えればいい? なんでも願い事だと言い張って、それを口実に自由を謳歌するために彼女は戻ってきたんじゃない。
きっと、心のどこかで忘れている事があるはずだ。
忘れかけの約束はどこで叶えればいいだろう、
思い出の場所とか何気ないタイミングでするものか?
今は細かい事なんて考えずにあの夏の残り香を言葉にしよう。
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