おもいでそのいち

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あの場所で何か遊びをしていいかもしれない。 でも、あの場所での遊びなんて考えてただけで無限に思いついてしまう。 森の中だからカブトムシ集めとか、かくれんぼとか。 土の下を掘ったら虫の幼虫とか木のかけらとかがわんさか。 考えつく遊びはきっと無限大にある。 でも肝心の主役は誰が務めるんだろう? 誰かをリーダーに決めて その人に探してもらうのがいいかもしれない。 そして、たまには森の中をふんだんに使って鬼ごっことかもいいかもしれない。 もし、色鬼とかだったとしたらどんな色にするだろう。 森の中だから緑と茶色と川の水色ぐらいしか使えない――他にはどんな色を使えば いいだろう? いやもう一つあった。 あの白だ。 彼女がいつも着ている白いワンピースの白。 でも、その白は土に落ちて溶けていく雪や結晶のように ひとときだけの色彩で、揺られる花のようにすぐ遠ざかってしまう。 あの場所から、白が消えても。 うっすらと消えていく白の代わりに自分が白いTシャツを着るべきだ。 なんとなく、そう思った。
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