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1.イケメンの定義
「真実は特別。俺と付き合ってよ」
スポーツ万能、優しい爽やか王子。
雑誌の読者モデルも務める顔面国宝。
そんな幼馴染の誠から、告白された。
「え、わたし?」
秋風そよぐ放課後の昇降口に、わたしたちの影が伸びる。
これはきっと、誰もがうらやむシチュエーション。
だけどわたしは、誠が大嫌いだった。
「ごめん、無理」
この世は、イケメンとの恋を描いた漫画やゲーム、小説などで溢れている。
それらが意味するのは、イケメン=正義。
学校は無情だ。高校生って残酷だ。
イケメンが頂点のスクールカーストをつくっては、わたしは上だの、あの子は下だの、ぎゃあぎゃあとうるさく騒ぎ立てる。
その秩序を乱すとすぐに目を付けられ、ハブられる。
だけど、イケメンが頂点だなんて、校則では決まってない。
生徒手帳にも書かれていない。
そもそもイケメンの定義って、何ですか?
どんな人がイケてるかなんて、わたしが決める。
予想はしていた。
翌日から、教室が、ひとりぼっちの世界になった。
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