僕はシロ!?

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毎日見ているのでそれほど変化を感じていなかったが、この犬は短毛種ではなかったらしい。 その証拠にポツポツと体のあちこちに白い綿毛が生え始めていた。 「変なの……?」 「……」 初めて足を止めて見つめる私に、無言でしっぽを振る新しい犬。 だが、この変化はほんの始まりに過ぎなかった。 それからのこの犬の発毛スピードは驚くべきものだった。 最初は顔や胴体にポツポツと生える程度だったがすぐに足や耳、しっぽにまで急速にふわふわした綿毛が生え始めた。 タンポポの綿毛のような小さな毛玉は、すぐさま真っ白な毛皮の群落を作り、その群落が次々と隣の群落と合体して行く。 一体、どうやったらこんなに速く発毛できるのか、まるで魔法みたいだ。 私が見ている間も『ポッポ!ポッポポッポ!ポッポ!』と毛玉が出来上がる音が聞こえて来そうな勢いだった。 そして、連休明けに久しぶりに犬小屋の前を通った私はあまりの驚きに、我が目を疑った。
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