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「紗弓、そのカーデ素敵」
「秋だねー」
大学の中庭のベンチで本を読んでいた紗弓は、友人たちに呼ばれて顔を上げる。
その拍子にゆるくウェーブのかかった長い黒髪がサラリと揺れた。
「 道ゆく男子が見惚れてるよ」
紗弓の両脇にそれぞれ腰掛けながら友人たちが言う。
「綺麗なボルドーだね。そのカーデどこで買ったの?」
友人が言っているのは紗弓が着ているボルドー色のカーディガンのことだ。
カーディガンの下は同色同素材の半袖ニットカットソーで、セットでもバラでも着られるアンサンブルだ。
黒のロングタイトスカートと合わせたシンプルなコーディネートだが、スラリとした細身で、長い髪の紗弓が着るとこなれてみえる。
「これ、もらったものだから」
紗弓の言葉を聞いて友人ふたりは顔を見合わせる。
「彼からのプレゼント⁈」
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