潮味のミルクティー

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 眉の動きはもちろん、ため息にさえ気がつかないのに彼女は真っ向から否定されると立派に落ち込むだろうし、わざとらしくないところが健気というか。 不思議ちゃんも人間なんだなと思い出して、ただただ私の罪悪感だけが膨らんでいく未来がみえた。 「……もちろん」  もやもやの毛玉がひとつ、心の中にふわりと重みを持たせていく。なにかの動物のように定期的に吐き出せやしないのに、私はここ二年ほど知らんぷりをし続けている。  その日の夜に『さあちゃん徳島旅行のしおり』と題されたファイルが送られてきた。 「あれ、なあちゃんの実家に泊まることになってる」 「どうしたん」 「いえ、今度徳島旅行にいくことになりまして」 「あー、不思議の国のお姫様な」  おひめおひめ。電話越しに彼が連呼する。その言い方はやめてくださいよ、とスマホの画面をスクロールしながらイヤホンマイクに話しかけた。
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