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初めて声をかけられた、あのときの香りと似ている。
高校時代の友人はみんな近場の大学に進学してしまった。大都会に引っ越してきて、もちろん友達もいない。何より同じ年代とは思えないくらい垢抜けた同級生たちに気後れしていた。
大講義室の後ろや端っこは大勢のグループにとられてしまって仕方なく真ん中前方に座った初日の授業直前。ポニーテールにティーシャツとサロペット、大きなリュック。親しみある格好をした、ファーストネームだけを名乗る凪優がおかしくて、この子といたら楽しく過ごせそうだと思った。
勇気をだしてお昼に誘うと二つ返事でオッケーしてくれた。嬉しかった。
「え、凪優ちゃん徳島から?」
西日本の人って少ないよね、と続けた。
「へえそうなんだ、よくわかんないや」
にこっとする様子が朗らかで、これが世に言う癒やし系かと納得した。
「サークルどこにするか決めた?」
「訛り隠す派?」
「その香水いい香りだね!」
「新歓行ってみない?」
「凪優って呼んでいい?」
早く仲良くなりたくてたくさん話しかけたのに――まあ今考えればそういう性格だよね――頷きはすれど話を広げてくれることは滅多になかった。
学部は同じでも学科が違ったため後半の授業はあまり被らなかった。離れた少しの間に凪優は知り合いをますます増やして、垢抜けていった。

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