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伯父様や浅田さんの話は体調が完璧になったら全貌を話そうと決めている。しかしながら父も薄々は気付いているはずだ。
「新しい家族、か。それは魅力的な提案だ」
控室に斗真さんが入ってくる。ドアを開いてからコンコン、ノックをして。
今日はいつにも増して端正な顔付きと服装で、そんな含み笑いを仕掛けられるとドキドキする。
「斗真さん! お父様の前でよしてよ!」
「何だ? 言い出したのは姫香だろう?」
「私はその、お父様が寂しくないようにと」
私はイタリアに在住し、屋敷で一人暮らしをする父。皆、変わらず支えてくれてはいるものの、あの広さは持て余し寂しいはずだ。
「姫香、斗真君、二人の気遣いは本当に有り難く思っている。特に斗真さんには金銭面でかなり負担をかけて申し訳ない」
「頭を上げて下さい、お義父さん。法的には未だですが俺はあなたの息子です。家族とは支え合うものでしょう?」
車椅子の脇に片膝をつき、目線を合わせる斗真さん。
斗真さんは立場に驕ることなく、相手に寄り添うことが出来る人。私は彼を尊敬する。
「娘を宜しく頼むよ。私の大事な娘を幸せにしてやってくれ」
「はい、必ず幸せにします」
父と斗真さんが固く握手を交わすのをみ、目頭が熱くなった。
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