傀儡子の少女

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 イライザに持たせると、もう一方の手を根付けの玉飾りに導いて、指先でこすらせた。すると金色の蝶が現れてランドールの顔の前で舞う。 「この蝶は僕の前髪でできていて、どんなに離れていても僕のところに一瞬で戻ってくるんだ。ちょっと離れていて肩が叩けないとかという時に気軽に使うと良い」  イライザはペコリと頭を下げるとウキウキとした様子で出て行った。 「ティナはついていかないのかい?」 「一日くらい魔力の供給がなくても腐らないよ」 「そんなに遅くなる?」  宿を引き払うまでに帰ってきてくれるか心配になる。 「知らない」  ちょうど夕飯時で、そろそろ下の酒場に向かおうと思っていたところだったので、食事が終わるまで出かけていてくれれば気兼ねなく食事ができていいのだが、いつ戻るか急に不安になった。 「出かけるってのは、帰らないってのとは違うだろ」  ポルポルの言葉は話がずれている気もしなくはなかったが、自由にしていいといって既に出かけてしまったのを呼び戻すのも申し訳ない気がしてやめた。   酒場に降りてみると、思った以上に繁盛していた。町に入る時に手形の提示を求められないくらいの小さな町だ。酒場も数が少ないのかもしれないと思った。  カウンター席の隅っこに席をみつけて、おさまると骨付き肉の煮込みと蜂蜜酒を注文した。  雑音に耳を傾けていると、ふいに自分の名前が聞こえてきた。 「一度は捕まった魔道士ランドールが逃げたして、討伐隊の隊長は騎士団を解雇されたらしいぞ」 「新たな討伐隊が編成されたらしいが、まだ都を出発できていないらしい」 「その前はどうして見つけられたんだ?」 「壊滅した村から追尾していた者がいたんだとよ」 「今回は誰も追尾していないのか?」 「さあな、まだ出発していないということはそうかもしれないし、単に泳がせているだけかもしれないからな」
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