手首の傷に花丸を

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 私は部屋に戻った。結局――そして今度も――生き延びた。  部屋には誰もいない。おなじみの独り。  私はベッドにダイブすると、長袖の袖をめくって、左手の手首を眺めた。そこには幾多の線が走っている。あの頃、私は死にたくて傷つけたし、生きてるって感じたくって、生きたいって思って、傷つけていた。  あの頃の感情は過去のものだ。私はもう、しない。だから、今の私に――花丸をあげたい。 「誕生日、おめでとう」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加