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「そこに座ってるゾンビの服をご覧ください。見事に血だらけ、ボロボロになってますねぇ。でもこれ、見覚えありませんか~?」
「おお?おおおおおお!?いやわかった。わかったけど、これちょっと反則じゃない?普段着でしょこれ。見てる人にわかんなくない?」
(何を)
「ふふーん。それがちゃんとわかるんだな。今年やったメンバーのプライベート密着の回。覚えてる?視聴者のみなさーん!見ててくれたかなー?覚えてるよねー?」
「ああー!そっか!!あったあった!たしかにこの服着てたわ!いやしかしここまでやるー?あの時、スゲー大事にしてるって言ってたのに。」
(何を言ってるんだ)
「ホントにねぇ。でもそこまでやっちゃうのが彼なんだなぁ。彼の本気度がうかがえますねぇ。」
「はああー。参った参った。こんなに血糊つけちゃって洗濯しても取れないよ。それ以前にズタボロ。もう物理的に破れまくってるじゃん。」
(俺は)
「ゾンビ君が誰だかわかれば、残った男は一人。カボチャ君は~~?ガメだ!」
「はい、はい、降参!降参です!・・ふう。もうこのカボチャ頭、暑いんだよね。脱いですっきりしたわ。あー。あー。いつもの声になってる?みなさーん。カボチャ頭はわたくし、ガメでした!でもプネコにやられたんじゃないからな!俺が負けたのはこいつ!ここまで本気でこられたら認めるしかないって!!ほら、お前も名乗れって。そこのゾンビ!もうバレてるぞ、アミズマ!」
(俺は、ゴーストだろ)
ガメがゾンビの肩を押すと、ぐらりと揺れたのち仰向けになるように床に倒れ、ガタンを大きな音をたてた。
血まみれの顔。あらぬ方向を見つめる両目、力なく半開きになっている口。その口元からさらに滴る血。
「きゃっ」と、死神ことイヌユが小さく声をあげる。
「お・・おいおい。もういいって、怖い。怖いからそれ。ビビらすなって。ほら立てよアミズマ。」
身体を揺さぶられてもゾンビは何も反応しない。
ドロリと血が流れ出て、床に血だまりを作る。
「いい加減にしろってマジで!おいアミズマ!!もうそれやめろって!!」
「ねぇ・・・・息・・・・・」
「はぁ?プネコ、何?息がなんて?」
「息してないよ・・・・・・・・・・」
イヌユの引き裂くような悲鳴が部屋中を震わせた。
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