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日々の生活に疲れた私は気分転換に海へとやってきた。
こんな時間に一人で海にいるなんて、変に思われないだろうか?と人目を気にしながらも
せっかく来たのだから……と自分に言い聞かせ、裸足で波打ち際に立ってみる。
波が押しては引いていく感覚を味わうのは
いつぶりだろうか?
気を抜くと私の身体ごと海にのまれそうで
怖くなった。
けれど海水の思わぬ冷たさに意識が取り戻される。
ふと足元を見ると、つい先程の波に運ばれてきたのだろうか、一つの貝殻があった。
深い海の底にいたであろう貝殻が、
砂浜まで運ばれてくるにはどれ程の時間がかかるのだろうか?
私はその貝殻を持ち帰ることにした。
貝殻を耳にあてると、波の音が聞こえるのだと子供の頃に聞いた話を思い出し、
私は拾ってきた貝殻を耳に押し当てた。
「ザバーン、ザバーン」と波の音が聞こえてくる。
私は自然と目を閉じていた。
そこにはこの貝殻の記憶だろうか?
美しい海の中の景色が広がっていた。
ーENDー
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