第16話 玉座の間

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第16話 玉座の間

 城の入り口についた僕とゴブリンロードは城の最上階を見上げた。 「あのてっぺんに魔王が居ます」 「いや、魔王が待っているだろ」 「何を仰います」 「お前が魔王石を出した時から怪しかった」 「ふふふ」 「何がおかしい」 「上に行けば分かりますよ」 「僕はひたすら魔王の場所を目指す。それで良いな?」 「はい。ご武運を」  僕はゴブリンロードを睨め付け迷宮の入り口を入って行った。この城が迷宮と呼ばれている所以は通路が迷宮の様に入り組んでいて、入り口、出口に辿り着くのは難しい。熟練のプレイヤーでさえ入ったら帰ってこれない。そのため、パーティには必ず神官を入れている。  僕はひたすら迷宮内を歩いたり走ったりした。出口も入り口も隠し扉になっていて仕掛けを見つけなければならないが、同じ色の同じ模様の石鼓が並んでいるため探しにくい。現世では攻略本を参考にしていた。 「この辺の筈だが」 『違う。二本目の角を曲がった辺りだ』 「誰だ」 『今はそんな事を言っている場合ではないだろう。早くここに上がってこい』 「そう言う事か。それなら望み通り上がってやる」  隠しスイッチを押すと出口の扉が開いた。 『それで二階に上がる階段が見つかる筈だ』  通路をまっすぐ進むと待機部屋があり、ボスを倒すと二階へ上がる階段が現れる。  しかし、既に階段が現れていた。 「ボスを狩ったのか」 『すべて腹の中だ』  僕は急ぎ階段を上がった。二階は仕掛け部屋になっていて通路を通るとtrapが発動する。全て乗り切れれば待機部屋に行ける。  僕は慎重に通路を歩く。trap発動のボタンは把握しているつもりだ。難なく待機部屋が目の前に見える位置まで来た。  この数メートルはどの様な行動をしてもtrapが発動する。このtrapを回避するには強靭な肉体を持つものか頭を使って回避するかだが、僕は頭を使う方を選んだ。  通路の壁をよじ登り天井に沿って張り付いていく。蜘蛛のようにだ。  僕はひたすら天井に張り付きながら待機部屋まで天井に張り付きながら先に進んだ。  待機部屋から三階に上がると目視できない空間になっていた。先が見えず通路があるのかどうかもわからない。半歩ずつ進んでいくと壁に当たる。ここも慎重に進んでいく。  ひたすら壁に当たって曲がるのを繰り返していくと範囲が狭まってくる。空間の中心部に行くと見えない階段があり、それを登ると四階に上がれる。  ここから最上階までは何なりとクリアできた。  最上階の階段を登り切った先に重厚な扉がある。この扉を開けるとラストボスがいる。  僕は重厚な扉を開けた。  最上階のラストボスがいる部屋は各階の待機部屋より少し広い何もない部屋のはずだが、そこには玉座があり一人の男が肩肘をついて入り口をらね見つけていた。  その男は僕に顔を向けるとニヤッと笑った。 「ようこそ玉座の間へ。そして初めまして」  その男の風貌を知っている。いやすごく似ていてその人が老けた感じだ。 「貴方がどうしてここに」
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