第1話 転送された少年

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第1話 転送された少年

 僕と今井三太郎はゲーム仲間で、オンゲーで知り合った仲間の一人だ。オンゲー仲間が同級生と知った時は心臓が飛び出るくらいはしゃぎまくった。  それから、僕達は毎日放課後になると校舎から校庭に降りる石段に座りオンゲーをやっている。 「えいっ、やー」 「おい、やべぇ」 『ゲームオーバー』の文字がでかでかと表示される。 「光太郎、お前強すぎ!」 「レベル幾つだよ」 「まだ80だよ」 「80じゃ勝てねぇよ」 「あっ、美幸が来た。ゲーム機隠せ。ちょっ早くしまえよ」 「ストラップが引っかかって…」  夕日を背にしていた僕は人影に包まれた。恐る恐る後ろを振り返ると、腰に手を当てて僕を見下ろしている美幸が立っていた。 「よお」  僕は苦笑いで片手を上げた。 「もう片方の手で隠そうとしているのは何?」 「は、は、は」  僕は笑うしかなかった。  美幸は黙って右手を差し出した。僕は仕方なく隠そうとしているポータブルゲーム機を渡した。最近新カラーリングで発売したモデルだ。 「お年玉でやっと買ったって言うのに」 「光ちゃん、今日何の日か知っているよね?」 「えっと、何だっけ?」  ピシッと乾いた音がして、右頬がジンジン痛み出した。 「お母さんの7回忌だよね。もう忘れたの!」 「はぁ」 「もう、知らないっ」  美幸は僕のポータブルゲーム機を持って夕日の向こうに行ってしまった。 「あーあ、ついてねぇ。買ったばかりのNew colorがぁ!」 「もうゲーム機帰ってこないな。光太郎ご愁傷様」  三太郎は手を合わせて頭を下げている。僕は校庭に倒れ込み死んだ振りをした。  気がつくと… ここはゲームの中の世界に似た光景だった。
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