第14話 オープンセレモニーの案内について

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第14話 オープンセレモニーの案内について

 広報の今田役員、京本部長、事業企画の臼井部長と足立と広報部の会議室で会議をしている。 「今日はオープンセレモニー及び一般公開の擦り合わせをしたいの」  あたしは今田役員、京本部長、臼井部長の顔を見て話を切り出した。 「その前にメディアの話からいいですか」  京本部長に視線が向けられた。 「大手ファションメーカー各社の見積もりと大手ゲームメーカー各社の見積もりです。相場は5、6万円で一ヶ月の掲載料になります。オープンセレモニー及び一般公開日の両方でいいそうです。各社トップページのヘッダーに固定で表示してくれるそうです」 「う〜ん」  三人とも固唾を飲みあたしの回答を待っている。 「う〜ん」 「「「社長?」」」 「う〜ん」  あたしは一ヶ月の記述を指差しうねっている。 「それでは三ヶ月ではいかがでしょうか」 「ではそれで」  「「はぁ」」  今田役員と京本部長がため息をついた。あたしは彼らを睨みつけた。 「広告案は持ってきたの?」 「これです」 「何何、夢の国New World。オープンセレモニーを開催します。いつ、いつ、いつ。四十組を無料でご招待。応募はこちらから。応募期間はいつまで。」 「う〜ん」  あたしは再び彼らをね見つけた。 「こうして。夢の国New World。オープンセレモニーにご招待。で『オープンセレモニーにご招待に』にアンダーラインを引いて、応募サイトをリンクして。フォントは20で」  あたしは三人の顔を見て話を続ける。  「メーカーとの調整と『広告案は』を考えたのは誰?」  京本部長が挙手した。 「あなたの部下ね」 「えっ」 「あなたはどうして確認しないで持ってきたの?今田さんも同じよ。処分は足立に任せるから。それじゃ解散」  あたしは広報部を出る前に櫛さんと井出さんと課長の今村さんに声をかけた。 「あなた達にオープンセレモニーの広告を作ってもらいたいの。今すぐに」 「はい。わかりました」 「あたしの執務室を使っていいから一緒に来て」  あたしが広報部を出ようとすると彼らはそのまま着いてこようとした。 「何も持ってこなくて良いの?」 「はい。ホワイトボードもありますし、タブレットもあります」  今村課長が答えた。 「わかったわ。行きましょう」  ホワイトボードを用意し、あたしは取締役室から自室に入った。 「夢〜、帰ったよぉ。一緒にパパに会いに行こう」  夢はあと数ヶ月で一歳になる。 『重い』 「夢大きくなったねー。もうちょっとしたら一人で歩けるかなぁ」  夢を抱っこしてLaboに着くと工藤医師が出迎えた。 「工藤さん、ちょっと夢をお願い。あたしの力じゃきついわ」 「社長、そろそろベビーカーを用意しないと」 「うん。わかってる。足立に頼んでみる」  夢を工藤医師に預け、光太郎のベッドサイドに座った。 「はぁ、疲れたよぉ」  光太郎の手を取り 「あたしもうすぐ二年生になっちゃうよ。早く戻ってきて」  凛々しい光太郎の顔を見つめ口づけをした。 『光太郎は歳を取らないんだよね。あたし、どんどん歳をとっちゃうよ』  社有のスマホがなった。 「広報の今村です。仕上がりましたのでデータ送ります。ご確認下さい」  電話を切るとすぐに社内チャットの着信があった。データを見るとあたしの案とほぼ変わりがかなったので、電子印を押印し京本さんに承認印をもらい、ゲーム事業分の木城さんに依頼をするように伝えた。 「光太郎、お待たせ。三人で旅行行きたいよね。どこが良いかなぁ。伊豆とか熱海とか新鮮な海の幸を食べたいし、牧場で牛の乳搾りでも良いよ。工藤さんに外出できるか聞いてみるよ」 「ダメです」  あたしは後ろを振り向くと足立が腰に手を当て立っていた。 「ダメです」 「あたし何も言ってないよ」 「ダメです」 「何がダメなの?」 「社長が考えている事です」 「はぁ」  なんでもダメと言う足立にうんざりしてきた。 「どうしたんですか。社長?」  工藤医師は夢を石井由美医師に預けてあたし達のところにやってきた。 「何を揉めているんです?」 「あたし達旅行に行きたいの。ダメですか?」 「ダメではないけど。設備が必要です」 「だから言ったでしょ。ダメなものはダメです」  あたしは交互に見つめた。 「いくらならできるの?」 「数百万あればできます」 「わかったわ。それでお願い」 「社長!」  足立は散々怒っていたが、どこに行こうかと旅行の事で頭の中がいっぱいになり、足立の話を聞いていなかった。
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